デザインアワード2024 審査会

今回、厳しい審査のすえ、
最終選考に残ったのは83件の作品。
時代とともに変わり続ける住まいへの“夢”を、
"現実"にするのが「実現力」です。
実現力を発揮した実例について、
魅力を審査員の皆さんに伺いました。

審査員コメント

根源的な“やすらぎ”を求めて

昨今リフォーム事業にはさまざまな業種の会社が参入してきています。とはいえ、暮らし方によってさまざまな正解が考えられるプランニングは、やはりプロフェッショナルである私たちの強みです。今年の応募作品には“やすらぎ”という共通項がありましたが、その“やすらぎ”をプロとして、いかに実現するか。パナソニック リフォーム クラブの強みが発揮された事例をご紹介します。

  • 建築家
    (株)コンパス建築工房
    代表取締役
    西濵 浩次さん

    “楽しさ”“思いやり”という
    エッセンスが見えてくるか

    応募作品はどれも美しく、快適な住まいばかりです。年々レベルが上がる中で、上位作品の差は本当にわずか。“ちょっとした楽しさ”や“ちょっとした思いやり”が住まいの奥にみえてくるか。完成した住まいの中に感じられる、そのような細やかな配慮に魅了されました。

  • 「relife+
    (リライフプラス)」
    編集長
    君島 喜美子さん

    外に開かれた家。
    社会的意義を感じた

    図書室や、ご近所の方と交流できるような玄関土間など、“外に開かれている”といえるような事例があり、社会的意義を感じました。コロナ禍が収束し、世の中の閉塞感から解放されて、「もっと外とつながりたい」という想いが住まいにも反映されたのではないでしょうか。

  • インテリアデザイナー
    interior design STRASSE
    代表
    柳生 千恵さん

    自分たちらしく、
    インテリアを楽しむ姿

    この数年、リモートワークやコロナ禍の影響で、いかに新しい暮らし方にあった環境を整えるかが重要だったと感じます。その時期が過ぎて、今は「落ち着いてインテリアを楽しもう」という想いが見えてきました。奇抜なものではなく“自分たちらしさ”が現れていましたね。

  • パナソニック ハウジング
    ソリューションズ株式会社イノベーション本部
    デザインセンター 所長
    渡辺 雅純さん

    新しい暮らし方が
    いくつも見えてきた

    70代でひとり暮らしをはじめる方や、50代ではじめて住宅を取得される方など、これまでにない新たな暮らし方のパターンがいくつもあり、勉強になりました。応募用紙を拝見しながら、そこで暮らすご家族の笑顔が思い浮かび、胸にじんとくるものも多かったです。

リフォームメインは60代。
70代のひとり暮らしも。

今回の応募作品で、もっとも特徴的だったのは、お客様の年齢層です。60代がもっとも多く、70代でひとり暮らしをはじめるためにリフォームをしたという事例もありました。年齢層がぐっと上がったのです。高齢と呼ばれる60~70代が、元気で生き生き活躍する時代に入ったといえるかもしれません。
また、両親と同居するための二世帯住宅ではなく、自分たちの住まいに呼び寄せて同居するためのリフォームもありました。どのような形の同居であっても、やはり“自分ひとり”になれる空間は重要です。今回の事例では、親の個室と自分たちの個室を、フロアの対角線上に配置したり、水廻りを間に挟んだりと、いかにプライベート空間を確保するかという点も非常によく考えられていました。今後も、ひとりになった親を呼び寄せて同居するケースは増えると考えられます。さらに居心地のよい同居の仕方が、注目されるでしょう。

自然光や照明の光も
インテリアとして有効活用。

インテリアでの特筆すべき点は、多くの事例に共通して“やすらぎ”が感じられたことです。
カラーの人気は、昨年に引き続きグレージュやグレイッシュで、定番化された感があります。床材に木目を選び、壁に白や薄いグレーを合わせた北欧風のベーシックな色合いにまとめておけば、リフォーム後も自分たちでカーテンや壁紙を変えれば、いくらでも違った雰囲気を楽しむことができます。最近は、壁紙の張り替えも簡単にできるので、インテリアを変えて遊ぶ、という傾向は拡がりそうです。
光もインテリアのひとつとしてうまく活用されていました。定番化しつつある白やグレージュなど淡く明るい色は、自然光や照明の当たり方で、表情が多彩に変化します。例えば、同じ室内でも早朝や夕暮れなど時間帯によって届く光が変わることで、空間の印象も変わります。濃い色をアクセントとして空間に取り込むより、白く柔らかな色を内装のベースにすることで、光と合わせて変化を楽しむ。根源的な“やすらぎ”を住まいに求めているのかもしれません。

LDKに求められる
家族のコミュニケーション。

キッチンのリフォームは例年多いですが、今年は、日本人の暮らしの中のコミュニケーションの在り方が、いい意味で変わってきているのではと感じさせられました。
特に際立ったのは、オープンキッチンをLDKの真ん中に配置するパターンです。オープンキッチンに対して、リビングのソファを直角に配置すれば、料理をしながらテレビを観ている家族とも、自然に気持ちよく視線が交わります。ひとりでキッチンに籠もるのではなく、さりげなく家族とコミュニケーションをとりながら、家事をすることが可能で、淋しさも解消できます。
かつては母親が奥まった台所で家事をしていた時代から、キッチンがLDKの主役になり、家族のコミュニケーションの取り方は大きく変わりました。これからは、家族のくつろぎやコミュニケーションの中心がキッチンとなるLDKで、リビングにどのような役割を与え、つくりあげていくかが大切になってくるでしょう。「リビングをどう捉えるか」という視点に、家族のつながりをさらに深める大きな可能性が秘められています。

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