お子さんたちが巣立ち、夫婦ふたりで暮らすことを考えてリフォームされた築30年のT様邸。まず、納戸のように使われていた子ども部屋を和室と広い洗面・浴室に変更。以前は勾配が急で、2階のキッチンまで荷物を抱えて昇るのがひと苦労だった階段を、折り返し階段にし緩やかな勾配に。「昇り降りがとてもラクになりました」と、奥様の負担も軽減。さらに、夏の暑さと冬の寒さを解消するために、1階の床と外壁に高性能のグラスウールを、屋根にはフェノールフォーム断熱材をそれぞれ使用。夏は涼しく冬はあたたかい、省エネとヒートショック対策を考えた、体にやさしい住まいが実現しました。「広島は瀬戸内の温暖な気候が広がる場所。断熱性能を高めればエアコンに頼らず快適に過ごせるんですよ」と語るご主人。こうした心地よさに一役買っているのが、天井や床に使用された杉やヒノキといった天然素材。なかでも新設された柱や梁には広島県産の安芸佐伯杉が、家具と建具の一部には同じく広島県産のヤマザクラとミズメザクラが用いられています。「地元産の素材を使えば山にお金を還元することができる。それが、ふるさとの森を育てることにつながると思います」。玄関脇の庭には、この家のシンボルツリーでもあるトネリコの木を植えました。「落葉樹なので冬は葉を落とす。そこが潔く、すっと立つ姿に癒されます」というのが、トネリコの木を選ばれた理由とか。春には白い花が咲き、訪れる人をやさしく迎えます。