2100年 宇宙の旅
 
 

第1話 未来の家を見学しよう!

   
「やったぁ、ロケット・ゲーム、ぼくの勝ちだ!」
「おにぃちゃん、もう一回やりましょ!」
ウォンバットファミリーのウォン太とウォンちゃんは、近ごろテレビゲームに夢中。ウォンちゃんがゲームのスタートボタンを押します。
「バチバチバチッ…!」
突然テレビが大きな音をたてたかと思うと、画面に赤い大きなボタンがあらわれ、ロケットのコンピュータの声がしました。
『2100年、宇宙の旅へようこそ! 
それでは画面のボタンを押してください』
ウォン太とウォンちゃんが思わず画面にさわると、ふたりともスーッとテレビに吸い込まれてしまいました。気がつくとそこはロケットの中。
「うわーっ、いったいどうなってるの?!」
ふたりがびっくりしていると、さっきのコンピュータの声が響きました。
「ウォン太くんにウォンちゃん、よろしく。これからいろんな星のいろんな家へご案内します。どうぞゆっくり見学してください」
どうやらふたりは、2100年の宇宙へワープしてしまったようです。
「宇宙のおうちって、どんなのかしら。わくわくしちゃう!」
さあ、どんな家がふたりを待っているのでしょう。
ウォン太とウォンちゃんの2100年宇宙の旅は、こうして始まったのです。

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第2話 フワフワの家

   
2100年の宇宙へワープしたウォン太とウォンちゃんが、最初にやってきたのは、空にたくさんの風船が浮かぶ、小さな星でした。
色とりどりの風船のあいまをぬって、ロケットはゆっくりと着陸します。
「ねえねえ、風船に窓があるわ!ドアも、えんとつも!」
風船だと思ったのは、なんと空に浮かぶ家だったのです。家は、エスカレーターで地面とつながっています。ふたりが驚いていると、家が急にふくらみました。
「あれぇ、あの家、いま大きくなったよ!」
「赤ちゃんが生まれたので、部屋をふやしたのです」
ロケットのコンピュータが答えました。
「風船みたいに、屋根や壁がのびるんだね!」
ふたりが感心していると、ボールが転がってきました。ボールには手足と丸い目があります。この星の子供でした。
「はじめまして!僕はフー。僕の家を見に来たんだよね?」
ふたりは握手をして、家の中に入りました。ドアを閉めると、エスカレーターがじゅうたんのように巻き上がり、飛行船みたいにゆっくり進みだしたのです。
フーがニコニコして言いました。
「この家は、どこへでも好きな所に行けるんだよ」
家は、お花畑や森や海を越え、やがて星を一周して止まりました。
「この星ぜーんぶ、お庭になっちゃうんだね」
ウォン太とウォンちゃんは、にっこり。それからフワフワの床の上を飛んだりはねたりして、フーと仲良く遊びました。

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第3話 水中の家

   
ウォン太とウォンちゃんは2100年の宇宙にワープして、いろんな星のいろんな家を探険しています。
ランプが光って、コンピュータがいいました。
「まもなく、つぎの星に到着します」
「あれ、あの星、地面がないよ。全部、海だぁ!」
ロケットは青い星にどんどん近づいて、そのままザッブーン!と海に突入します。
「うわぁ、潜水艦にもなるのね!」
海の底は、ピンクや紫のサンゴでいっぱい。
気がつくと、たくさんの人魚たちがウォン太とウォンちゃんに手をふっているではありませんか。
「ようこそ、人魚の星へ。さあ、この真珠を」
真珠の粒をなめていると水中でも息ができました。ふたりがサンゴの家に入ると、海藻のカーテンがゆれ、クラゲのテーブルやヒトデのソファがありました。
「あら、お風呂サービスの時間だわ! おふたりも、ご一緒にどうぞ」
人魚がそういうと、たくさんのカニが入ってきて、ブクブクと泡を出しました。
部屋の中も、ウォンちゃんたちも泡だらけです。カニの次にはエイがやってきて、大きなヒレできれいな水を送ります。渦が起こり、泡はすっかり消えました。
「私たちはお肌すべすべ、お部屋もきれいになったでしょ?」
「へぇー、掃除とお風呂がいっぺんに済んじゃうんだ。あぁ、サッパリした!」
ウォンちゃんが、短くなった前髪をさわって、ちょっと照れています。
「あたし、カニさんに散髪までしてもらっちゃった!」

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第4話 囲炉裏の家

   
2100年の宇宙にワープしたウォン太とウォンちゃんが、次に訪れたのはとても寒い星でした。冷たい風と雪にさらされ、街はすっかりこおっています。
そんな吹雪の中を、モコモコと暖かそうな長い毛の羊が近づいてきました。
「こんにちは、ウォン太くんにウォンちゃん。さ、シープンの家へどうぞ!」
シープンの家のリビングはとても広くて、暖かでした。
「あら、おうちの中に砂場があるわ!」
とウォンちゃん。
するとウォン太が得意そうに、
「ボク知ってるよ。これはイロリだよ」
囲炉裏に置かれたお鍋からはいい匂いがします。
「でも、火は使ってないから安全なんだ。地面のずっと下の熱を利用してるのさ」
と、シープン。
ふたりが感心していると、シープンの家族が集まりました。
みんなで囲炉裏を囲んでの食事は、とても楽しいものです。
「さあ、これから宝探しゲームをしよう!」
お父さんの声に、子供たちはめいめい、長い串で囲炉裏の砂の中をさぐります。
「わぁ、焼き芋!」
「焼き栗みつけた!」
「ほかほかのレーズン・マフィンよ!」
シープンたちは大騒ぎ。ウォン太もホイルに包んだパイを見つけました。
「あれぇ、私のは紙風船だわ?!食べられないじゃない…」
泣きべそのウォンちゃんですが、シープンがそっと紙風船を広げると…おやまぁ、たっぷりのバターの香りとともに、ポップコーンが顔をのぞかせましたとさ。

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第5話 クローゼットの中は…?

   
ウォン太とウォンちゃんは2100年の宇宙の旅で、いろんな家を見学しています。やがてロケットは、ジャングルにおおわれた暑い星に近づきました。
「木の上に、かわいいおうちがあるわ!まるで鳥の巣箱みたい」
ウォンちゃんが叫んだとき、その家からきれいな羽のオウムが飛び出してきました。
「ウォン太くんにウォンちゃん、こんにちは!わたしピピ。よろしくね」
「こんにちは。それにしてもここは、すごく暑いなぁ!」
汗っかきのウォン太に、ピピがくすっと笑いました。
「それじゃ、雪遊びしましょ。とにかく、家の中へどうぞ」
家の中には、大きなクローゼットがありました。ピピは自分の体から羽を1本抜くと、その羽でクローゼットの扉に雪景色と、ソリの絵を描きます。
そして、扉を開けると…、そこには本物のソリがあって、真っ白な雪の丘が広がっているじゃありませんか!ふたりはびっくりして、大急ぎで家の外に出て、周りをグルっと一周してみました。
そこはやっぱり暑くて、ジャングルの木の上の小さな家です。
「すごいなぁ! 扉に描いた絵が、本物になるなんて!」
「暑い星なのに、いつでも雪遊びができるのね!」
驚くふたりに、ピピが楽しそうに答えました。
「私がクローゼットの扉に絵を描くと、絵の世界につながって海にも街にも行けるわ」
それから3人は、思いっきり雪遊びをして過ごしました。
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第6話 お菓子の家

   
「最後の星へ出発!」ウォン太とウォンちゃんを乗せたロケットがワープすると、あっという間にかわいい家が建ち並ぶ星へ到着です。
「なんだか、とってもいいにおい!チョコかな?」
この星の家は、お菓子でできていました。
町のあちこちで、アリさんたちが家を建てています。その中のひとりが、こっちを向いて手をふりました。
「ウォン太くんとウォンちゃんだね、ぼくはアント。ここでは、お菓子の家を作って、少しずつ食べるんだ。なくなったらまた作るのさ。だから、いろんな家に住めるし、いつでもお菓子が食べられるんだよ」
「わたしの家も、お菓子でできていたらいいのに…」
ウォンちゃんの声に、アントはしばらく考えて、ぽんと手をたたきました。
「じゃあ、ロケットの中をお菓子で飾ろう!」
アントと仲間は、お菓子をたくさん運んできました。床にクッキーを敷き詰め、壁にはクリームやチョコをたっぷり塗り、天井にはカラフルなキャンディーのシャンデリア。ロケットの中は、まるでデコレーションケーキみたいです!
するとそのとき、コンピュータの赤いランプが光りました。
「まもなく、ウォン太くんとウォンちゃんの家へ向けて、出発の時間です」
ロケットを降りたアントに、ふたりは窓から大きく手をふって叫びました。
「さよなら、今度はうちに来てね、私たちがケーキを作ってあげるから!」
やがてふたりを乗せたロケットは、甘いにおいとともに宇宙へ飛び立ちました。

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