デザインアワード
2022
審査員コメント

ご家族ごとの
多彩な暮らしが見える

「自宅で過ごす時間をより豊かにしたい」という想いが見えてきた今年度のデザインアワード。型にはまらない自由なプランが増えてきました。審査員の皆さんに傾向やポイントなどを伺います。

※肩書は審査会当時のものです。

完成した家だけでなく
“プロセス”を楽しむ

リフォームには「自分で、自分の好きなように、自分のしたい暮らしを手に入れる」という大いなる楽しみがあります。ライフスタイルや社会の変化により、お施主様は完成した家の暮らしだけではなく、リフォームのプロセス自体を楽しむという傾向に変わってきたのではないかと感じました。

建築家 ㈱コンパス建築工房 代表取締役西濵 浩次さん

建築家 ㈱コンパス建築工房
代表取締役
西濵 浩次さん

水廻りのリフォームが
暮らしの質を向上させる

それほどお金をかけなくても「工夫次第で、こんなに住まいが変わった」という事例をたくさん拝見して非常に刺激を受けました。特に洗面所や浴室など水廻りのリフォームで、暮らしの質をここまで向上させられることに改めて感心しました。

「relife+(リライフプラス)」編集長君島 喜美子さん

「relife+(リライフプラス)」
編集長
君島 喜美子さん

暗くても狭くても素敵。
発想が、いっそう自由に

大胆な色使いが多く「色で遊ぶ」感覚が浸透してきました。ネガティブな印象で敬遠されがちな「暗さ」や「狭さ」をも活かした素敵なインテリアを工夫され、印象的に仕上げた事例は、プランナーの皆さんの感覚が成熟された証拠ですね。

インテリアデザイナー
interior design STRASSE 代表
柳生 千恵さん

インテリアデザイナー
interior design STRASSE
代表
柳生 千恵さん

楽しそうなご家族の声が
今にも聞こえてきそう

「今日ご家族はここで、どんな楽しい時間を過ごしたのかな」と微笑ましい気持ちになりました。以前は限られた空間を「いかに隠すか。機能を足すか」という工夫が多かった気がしますが、そうした視点はすでに昇華されて「家の中をより豊かにする」を重視されるように変わってきましたね。

パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社
イノベーション本部 デザインセンター     所長
渡辺 雅純さん

パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社
イノベーション本部
デザインセンター
所長
渡辺 雅純さん

平屋や減築、空き家の活用。
今あるものを活用する

大きい建物を平屋にしたり減築したり、家族の変化に合わせて、住まいを小さくするというリフォームが見られました。「なんとかマイホームを持ちたい」と多くの人が新築住宅を求める時代がありましたが、現在は、家が余りはじめ、空き家を購入してリフォームする事例も増えてきています。
中には、実家をリフォームして今の住まいに加えて2拠点目として活用したり、あるいは移住したりするケースもありました。これはコロナ禍を経て働き方が変化し、都会でなければ生活できないという制限がなくなってきた現れではないでしょうか。反対に田舎の実家を手放して、都会に住む子どもたちの近くに移り住むというケースもあります。
全国的に、住宅数自体はすでに充足しているので、今あるものを活用することにスポットが当たってきていると考えられます。今後もリフォーム数は伸びていくでしょう。今以上にリフォームに焦点があたる時代になるのではないでしょうか。

デザインで遊ぶ。
リフォーム自体の楽しさ

リフォームが浸透して、今の間取りにこだわらない、自由な提案も見られました。ブルックリン風、北欧風などとカタチから入るのではなく、ご自身の好きなモノを楽しみながら組み合わせられた素敵なインテリアだなと感じさせるものが多くありました。
色については“ブルー”を使ったインテリアが多く見られました。キッチンや扉、天井、壁など、取り入れる部分はさまざまですが、ブルーと補色である黄色を合わせたり、同じブルー系で合わせたり、非常にうまくコーディネイトされています。
また壁については、ブルー以外にも、無地のビビッドな色をアクセントとして大胆に活かしている事例もありました。壁や天井など広い範囲を「色で見せる」のは、かなり勇気のいることですが、それだけセンスが成熟され、インテリア選びをお施主様と一緒に楽しまれている様子が見えてきました。

住空間が日常を変える。
これぞ、リフォームの意義

間取りという視点では、お客様の生活に寄り添ったものが多く見られました。例えば、洗濯の多いご家族は洗面・脱衣スペースと動線を分離したり、子育て中のご家族は、ちょっとした畳の小上がりを設けたりと、家族ごとの生活に寄り添ったプランです。設計担当者が、お施主様に寄り添って丁寧に設計されている様子は、多くの事例から見られました。
またリフォームによって、住まい手の気持ちや生活に変化があったという事例もありました。苦手だった冬が待ち遠しくなったり、友人をよく招くようになったり。クリアガラスを室内の扉や壁に取り込むことで、廊下や玄関まで採光でき、住空間が明るくなった事例では、「心まで明るくなった」というお施主様の声も。
リフォームは単なる修繕工事ではなく、住まい手の暮らしの質まで向上させることができる――。リフォームの意義というものをあらためて感じさせられました。

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